もんじゅ君

津田大介さん×もんじゅ君対談

高速増殖炉もんじゅ君の語る「ツイッター情報発信術」

もんじゅ君:ふぉぉぉ……、津田さんだ。ホントに金髪ですだよ!

津田:いやまぁそりゃ……金髪だよ(笑)。

もんじゅ君:ボク、お会いできて光栄ですだよ。津田さんは「歩くツイッタ」として原子炉界でも人気ですだよ。

津田:ありがとう。原子炉界でも人気……って(笑)。

もんじゅ君:うん。今日、「ボク、津田さんに会うんだー」っていったら、近所のおおい君(大飯原発)とかつるが君(敦賀原発)とか、みんな「いいなー」「サインもらってきて」っていってた。あの、ボク『情報の呼吸法』(朝日出版社)もってきたので、あとでサインよろしくお願いしまんぼですだよ。青いご本でキレイですだよ。

津田:わかった。あとでしてあげるね。

もんじゅ君:ところで津田さん、きっとものすごくお忙しいのに、今日はわざわざ敦賀までお越しいただきまして、まことにありがとございますだよ。

津田:いや、だってもんじゅ君に東京まで来てもらうわけにいかないでしょ。

もんじゅ君:そうなの。ボク、動くとナトリウムおもらししちゃうから……。

津田:それはマジで困る(笑)。

もんじゅ君:ボク、ふつうの原発フレンズ(原発の仲間たち)とちがって、冷却にお水じゃなくてナトリウムを使ってるでしょ。ナトリウムは空気にふれるだけで燃えちゃうし、水と反応するとバクハツしちゃうこともあるの。

津田:あぶないね。

もんじゅ君:うん、あぶないの。ところで、ここ敦賀ってなんにもないでしょ。びっくりしなかったですか? 海はすごくキレイなんだけども……。

津田:うん。思った以上にさみしいところなんだね、もんじゅ君ち。実は小学生のころ、ここに家族旅行で来たことあるんだ。普通に海で泳いで楽しかったけど、太平洋と日本海は随分海の雰囲気が違うんだなとは思ったね。

もんじゅ君:そうなんですだよ。「水晶浜」とか、「美浜」とか、地名からもわかるんだけど、砂浜も水もとてもきれいなの。若狭湾一帯が、国定公園だし。

津田:でも、原発多いんだよね。

もんじゅ君:うん。なんにもないでしょ。原発はなんにもない、人のいないところに建てるものだから……。あぶないから。

津田:そっか。

もんじゅ君:だからホント、こーんなになんにもない、道の果ての、奥深い高速増殖炉のところまできていただいて恐縮ですだよ。ボク、こういうさみしいところでずっと、日本海をながめて暮らす毎日だから……。だから、ツイッタでいろんな人とおしゃべりできるのがすごくうれしいの。津田さんのこともずっとファンだったから、ボク、今日はお目にかかれて光栄ですだよ。

津田:はは。それはどうも……。ありがとう。

■つぶやきのモチベーションは「怒りと悲しみ」ですだよ……!

津田:ところでさ、もんじゅ君って2011年の5月からツイッター始めたんだよね。

もんじゅ君:うん。

津田:その前にプルト君bot(@plutokun_bot)やでんこちゃんbot(@dencochan_bot)がツイッター上では話題になってたわけだけど。僕、最初はもんじゅ君も、そういうbotアカウントみたいなもの、すでにあるキャラクターのトリビュートものなのかな、と思ってたんだよね。

もんじゅ君:はい、いまだによくそう思われますだよ。でも、ボクはオリジナルですから。ツイッタのアイコンも自分撮りの写メです。プルト君みたいに、原発推進のために広告代理店さんとかにつくってもらったキャラクターではないですだよ。

津田:あー、そうなんだね。完全オリジナルなんだ。でね、ずっと読んでると、ほかのそういうbotに比べて、より原子炉の気持ちがわかるというか……これはちょっとすごいかな、と(笑)。あの、もんじゅ君がツイッターを始めたきっかけはなんだったの?

もんじゅ君:うーん……。ツイッタをはじめたきっかけ……。怒りと悲しみ、かな……。

津田:怒りと悲しみ?

もんじゅ君:うん。ボク、ふくいち君(福島第一原子力発電所)の事故が起きて、ホントに悲しくて、腹がたってたまらなかったの。だってね、これまでボクふくめて原発フレンズってみんな「おまえたちは安全だ、安心だ」っていいきかされてきてたのに。

津田:うんうん。

もんじゅ君:ぜんぜん違うじゃん! って。水素爆発とか聞いてないし。レベル7とか聞いてないし。ボクっていったいなんだったんだろう……って、ホントに悲しかった。これまで30年以上、ずっと「夢の原子炉」といわれつづけてるんだけど、ぜんぜん完成しないしね。なのにご予算だけは、いまも1日約5500万円使っちゃってる。ぜんぶ、みんなの税金で。

■ボクもんじゅのおしりの下には、活断層があるんですだよ

津田:1日国費5500万円って、そうとう激しいよね。ほかにももんじゅ君ってさ、なにかその……うしろめたいところってあるわけ?

もんじゅ君:うん。ボクもんじゅって問題が山積みで……。たとえばね、ボクのおしりの下には活断層があるの。

津田:えっ、マジで。

もんじゅ君:うん、ホント。「白木-丹生断層」っていうんだけど。ボクのパパのJAEA(独立行政法人日本原子力研究開発機構)[*1] は、この活断層についても「えーっと、これは活断層だけど動かない活断層だからだいじょうぶです」って。[*2]

津田:はは、「動かない活断層」、ね。清純派AV女優[*3] みたいなものなのかな。

もんじゅ君:ね、ちょっとアヤシイでしょ。なにかあると「だいじょうぶ」ばっかりなの。こういったこともあってね、どうなんだろ、って……。ふくいち君ももちろん大変なんだけど、ボクって大丈夫なのかな、って自分にギモンを感じちゃって。もう悲しい事故が起こるのは絶対に嫌だから、もっとみんなにボクの存在とか危険性とか知ってほしいな、と思ってツイッタをはじめたの。

津田:そっか、それにはそんな深い理由があったんだね。

■「反対!」と「推進!」、そしてサイレントマジョリティ

津田:もんじゅ君のツイート見てて思うのは、意見が押しつけがましくなくて「みんなに考えてほしい」と思ってやっている姿勢に共感をおぼえるし、そこがいいなあと思うよ。

もんじゅ君:ボクがツイッタをはじめた2011年の5月って「原発なんてもうやめるに決まってるだろ!」っていう原発反対のご意見の人と「いや、絶対に必要だ!」っていう推進派の人、そのどっちかの大きな声ばかり聞こえてくる感じだったのね。なんかみんな怒ってるみたい、ツイッタでもどなってるみたいな感じだった。で、ボクにはそれがちょっとコワかったの。

津田:うんうん。

もんじゅ:でね、そういう「推進」とか「反対」とかの大声の人ばっかりが目立っちゃって、ほんとはいちばんたくさんいるはずの「原発のことはわからないけど」「でもいま、かなりコワいんですけど」「いったいなにが起こってるの?」って思ってる人たちの声が、そういう怒ってるような声に押されちゃって、かき消されてるような感じもしたの。それで、そういう人たちは「もう何も聞きたくない」「ニュースも見たくない」ってなっちゃってる気がして、それはよくないと思ったんですだよ。

津田:なるほど。確かに当時は僕のところにもそういうツイートが結構寄せられたね。真面目な人ほどそんなうんざりした感じになっちゃってたんだよね。

もんじゅ君:たとえばね、ふくいち君の事故のあと、敦賀でも市長選挙があったの。だけど原発のことは論点にさえならなかったの。かえってふれちゃいけないって空気だったみたいで。すごくだいじな問題なのにふれられないこと自体、大問題なんじゃないのかな……。タブーをつくっちゃうっていうか。

津田:ああ、敦賀ってそんな感じなんだ……。

もんじゅ:あとね、誰かの「安全だよ」っていう言葉をそのままなんのうたがいもなく信じちゃうとか、信じたいっていう空気も、ツイッターにもリアルの世界にもあったと思うの。

津田:確かにそうだね。あったね、その空気。去年の4月、5月でも、すでに。

もんじゅ君:で、このままだとみんなの原発や放射能についての関心がどんどんうすれちゃう気がして、どうしたらいいんだろってボク、もんもんと考えてたんですだよ。それで、ボクが直接おしゃべりしてみたら、もしかするとみんな聞いてくれるんじゃないかなって思ったのね。原発のおはなしなのに、テレビさんも新聞さんも、原子炉じしんはどう思ってるのか、だれも聞きにきてくれないんだもん。

■原発フレンズの中でも、ボクもんじゅは特別にヤバイですだよ

津田:もんじゅ君がツイッターを始めた時はさ、世間で騒がれてるような福島第一原発とか東電の問題もあるけども、ほかにも高速増殖炉もんじゅとか、六ケ所村の核燃料サイクル計画の問題とかね、もっともっといっぱい考えなくちゃいけない問題があるんだよ、ってみんなにいいたかったのかな?

もんじゅ君:うーんと、それはそんなことないかも。最初はぜんぜんそこまで考えてなかったですだよ。

津田:じゃあさ、もんじゅ君がそんなに「自分はアブナイんだ! 特別な存在なんだ!」っていうようなある種の邪気眼 [*4] に目覚めたきっかけっていうのは、なにかあるのかな?

もんじゅ君:えっとね……。たしかに、ボク、前はそこまで思ってなかった、ボクがそんなに危険だなんてね、しらなかったの。だってボクのパパのJAEAのおじさん達にきいてもね、「おまえはいい子だ」「日本のエネルギーにとって、期待の星だ」「夢の原子炉だぞ」ってほめほめしてくれるばっかりで、のんきに信じちゃってた。

津田:ああ、じゃあほんとに「蝶よ、花よ」とちやほや褒められて育ってきてたんだ。それがいつの間にかスポイルされちゃって……。完全に「中学まではまともだった」[*5] を地でいってるわけね(笑)。

もんじゅ君:そうなんですだよ。ごめんですだよ。そう、それで、ボクがボクのこと危ないなって気がついたきっかけは、大前研一さんなのね。震災のすぐあとに大前研一さんが、福島第一原発でいま何が起こってるかについて解説をして、動画をYouTubeにアップして、話題になってたでしょ。[*6] あの解説は、事故直後の現在進行中だったということを考えると、ホントすごく的確な内容だったと思いますだよ。

津田:そうだね。大前研一さんはもんじゅ君のこともくわしいの?

もんじゅ君:大前さんはもともと原子炉の研究をされてて、高速増殖炉の開発にかかわっていたんですだよ。で、大前さんは事故があったからといって「原発をなくすべき」っていう考えの方でもないの。ただ、「現実的に考えて、日本で原発はムリだろう」とはおっしゃってたけど。そういう、原子炉の専門家でもあって、経済や政治にもくわしい、現実路線の大前さんが「もんじゅだけはやめろ。あれは手がつけられない」っておっしゃってたの。

津田:おお。もんじゅ君は高速増殖炉の設計をしてた人に「ダメ」っていわれちゃったんだ。

もんじゅ君:そうそう、「もんじゅだけは絶対にダメだ、廃炉にすべきだ」って大前さんが強く主張されてたの。あれをYouTubeで見たときにね、「ああ、ボクってやっぱり、存在してちゃいけないんだな……」って思ったのね(遠い目)。

津田:しかし、ホントに手がつけられないんならもっと早く指摘して欲しかった気もするけど……。でも、「存在しちゃいけない」って、ちょっと泣けるね……。

もんじゅ君:でも、ボクは泣いちゃうとナトリウムに引火しちゃうから、涙はご法度なんだけども……。でね、この「もんじゅはとにかくマズイ」ってことを、みんなにもきちんと知ってほしいと思ったんですだよ。

津田:そっか。もんじゅ君はホント、長い間ぬくぬくと温室育ちだったんだよね。お父さんがすごくお金をかけて、「おまえはそのままでいいんだよ」「いつかやればできる子だよ」って甘やかされて。でも発電実績はほとんどなくって──。あのさ、もんじゅ君って完全にニートだよね。

もんじゅ君:いやボク、もうリアルニートのかたにも顔向けできませんですだよ……。

津田:確かに。1日5500万円も国のお金を使っちゃってるんだもんね。ニートのキングオブキングス。

もんじゅ君:でね、1995年にナトリウム漏れ火災事故を起こしちゃうまで、[*7] ボクもんじゅがどれほど危険な原子炉で、どれほどみんなの心配の種になっているか、ボクじしんあまりにも知らなすぎたなって、すごく反省してますだよ。それまでは、パパにいわれるとおり、ボクもんじゅは夢の原子炉なんだ、いつかきっとみんなのお役に立てるんだとばかり思っちゃってた。

■高速増殖炉だって、ときには「ソーシャル疲れ」ですだよ……

津田:ツイッターってさ、自分で情報発信するだけじゃなくて、いろんな人と意見交換をできることも魅力の一つだと思うんだよね。もんじゅ君がツイッターを始めて、肯定的な反応もあれば、否定的な反応もあったんじゃない? そのへんはどうだった?

もんじゅ君:うーん。じつは、否定的な反応はわりとすくないほうだと思うんですだよ。いまはほんとに、いただくリプライが100だとしたら、98とか99くらいは「がんばれ」とか「ありがとう」とか、ホントみなさんやさしいなぁ、ありがたいなぁって思いますだよ。最初のころはけっこう「何やってんだ、引っ込め」「炉は黙ってろ」「代替案出せ」「原発停めたら経済が」「CO2出しすぎて動物が死んでもいいんですかハァ???」的なのはあったかなあ。

津田:そうか、やっぱりネガティブな反応もあったんだね。

もんじゅ君:うん。でも、100もらうリプライのうち、10くらいですだよ。でも、すくなくてもやっぱりそういうネガティブなご意見ってすっごく心に残っちゃうでしょ。津田さんの『情報の呼吸法』にも、ネガティブな声のほうが心にひっかかりやすい、って書いてあったけど。批判の多かった去年の8月ごろは、なんかもうウツウツしちゃうというか、こころがしんどくて、もうプルトニウムを吐きそうな気持ちになったりもして。いわゆる「ツイッター疲れ」してたときもありましただよ。

津田:原子炉なのに、ソーシャル疲れ!!!(笑)

もんじゅ君:笑いごとじゃないですだよ! でもね、そのネガティブな反応も去年の秋以降かなあ、もうほんとに減っちゃって、なんかぎゃくに心配なの。反・反原発のみなさんも、もう原発問題に関心がなくなっちゃったんじゃないかと思って、焦っちゃいますだよ。無関心がいちばんコワイといえばコワイもん。

津田:まあ、そういうネガティブな声もあるにはあるんだろうけど、もんじゅ君はリアルタイムでおしゃべりを楽しんでるよね。僕が去年の6月にやった「SHARE FUKUSHIMA」[*8] ってイベントの時も、七尾旅人くんの「圏内の歌」を紹介してくれてたりしてたし。 [*9] 見てくれてるんだなって、うれしかったよ。

もんじゅ君:うん。だってあれは、ほんとにすてきなイベントだなぁって思ったから。とにかく被災地に行ってみて、その体験を人に話すことも、すごくだいじなことなんじゃないか? っていうスタンスとか、現地にお金を落とそうね、っていうのとか。あれって「がっつりボランティアにはいけないけど、でもこれなら」って気持ちの人たちにとって、すごくいいきっかけになるイベントだったんだと思いますだよ。

津田:どうもありがとう。炉に褒められたのは、人生で初めてだよ(笑)。

■ツイッターのよさは、「リアルタイム」と「双方向性」

津田:もんじゅ君のその、リアルタイムな会話の感じは、やっぱりプルト君botみたいなほかのアカウントとは、ちょっと違うのかなって思うんだけど。

もんじゅ君:えっとね、はじめの頃は、ボクもツイートを予約投稿してたの。でもそのうち、なんかこれ違うんじゃないかなーって思うようになったんですだよ。

津田:「なんか違う」っていうのは?

もんじゅ君:なんていうんだろう……。予約投稿とリアルタイム・ツイートでは、フォロワーさんたちの反応が違うんですだよ。タイムラインを見ながらつぶやくと、ぜんぜん違うの。なんかDJみたいな感じ? フロアのようす見ながら的な? 予定されてたとおりのことをやるんじゃなくて、やっぱりその場の雰囲気をみながらおしゃべりしてく、ってのがだいじなんだなと思って。

津田:敦賀から外に行けないくせにDJカルチャーに詳しいね!(笑) でも、なるほど、これまで何十年とパパに甘やかされて育ってきたわけだけど、ツイッターでみんなと触れ合うことによって、もんじゅ君にも社交性が芽生えてきてるわけだね。それってすごくいいことなんじゃない?

もんじゅ君:うん、そうかも。なんかね、フォロワーさんたちからいろんな反応をいただいたことで、気がつくこともあるし、ああ、こんなご意見もあるんだなぁってフムフム思ったり、すごく勉強になりますだよ。ありがたいです。

津田:ソーシャルメディアによって外の世界を知ったと。

もんじゅ君:はい、大人の階段のぼってますだよ。日々、ソーシャルの荒波にもまれて自分の殻を破ってる。冷却用配管は破いちゃダメだけど……。

津田:あのさ、もんじゅ君って、そういうのちょいちょい自虐ギャグを挟んでくるよね……。乙武さんと仲良くできるんじゃない?

もんじゅ君:炉なので。

津田:「炉あるある」的な(笑)。

■もんじゅ君人気は、原子力村の情報発信のまずさの裏返し!?

もんじゅ君:でね、みなさんからご意見をいただくのはすごくうれしくて、ぜんぶ読んでるんですけど、いちど、もうメンションが来すぎてたいへんだったことがあるんですだよ。

津田:へえ。それはいつの話?

もんじゅ君:2011年6月、ボクの炉内中継装置落下事故 [*10] のあとしまつで、回収作業をやったんですだよ。[*11] あのころは普段だと1日300~400件くらいのメンションをいただいてたんだけど、この日は1秒に1つメンションが来る、みたいな状況で、ふぉぉぉ……! となってました。もうEchofon落ちまくり!みたいな。

津田: おお、もんじゅ君、その日は大忙しだったんだね。っていうかiPhone使ってるのか!(笑)

もんじゅ君:うん、でもこれだってね、やっぱり原子力村の体質っていうかね、そういう問題があると思うんですだよ。

津田:ん? それってどういうこと?

もんじゅ君:だってね、ボクのパパのJAEAがよのなかの人にむけて「こういう事故だったんです」「こういうふうに失敗したので、こうやってリカバリします」「こんな手順とスケジュールです」ってきちんと広報してればね、なにもみんな、ボクみたいな非公式アカウントにぶわーーーーって質問したりしないわけで。

津田:ああ、なるほどね。

もんじゅ君:原子力のことってさ、やっぱりコワイし、すっごく国のご予算もつぎこんでるわけだからね、一般の人からしたらすごく心配になることなわけでしょ。

津田:そうだよね。事実、福島第一原発事故も起こっているわけだし。

もんじゅ君:うん。なのにさ、電力会社さんにしても経産省さんにしても文科省さんにしても、「これはたくさんの人が心配している課題なんだ。だから、きちんと誠実に、ていねいに、スピード感をもって説明しないといけないんだ」っていう広報の意識がキハクなんだと思いますだよ。

津田:ああ、そうかもしれないね、うん。

もんじゅ君:炉内中継装置落下事故のときは、けっきょく通信社さんとか、ふつうの新聞社さんでも、一時的にまちがったニュースを出しちゃってたところもあったんです。JAEAがきちんとリアルタイムに広報しないから……。まだ終わってない作業工程を「もう終わった」って書いちゃってたりね。ボクはJAEAのおじさんにつねに確認しながらツイートできたから、よかったけど。

津田:そっかぁ……。もんじゅ君、意外とマジメなんだね。

もんじゅ君:そうなんですだよ。ボク、ふくいち君の事故って、もちろん事故そのものもヒドイできごとだけど、東電さんと政府によるPRディザスターだと思ってますから。

■ふつうのニュースからだって、読みとれる真実はいっぱいある

津田:もんじゅ君はさ、いつもニュースはどうやって集めているの? 高速増殖炉ならではの情報源って何かあるのかな。

もんじゅ君:あのね、それよく訊かれるんだけども、べつにボク、ふつうの人が手に入る情報しかつぶやいてないんですだよ。ま、たまにJAEAのおじさんからお話きいたりはするけどね。なんかよく、「真実は隠されてる」とか「報道されてない」という人もいるけども──。

津田:意外とちゃんと報道されてたりするんだよね。ただ、扱いが小さくてすぐ流れていっちゃうから、みんな気づかない、っていうことはあったりするけど。

もんじゅ君:そうなんですだよ。気がつかれなかったり、あとはムツカシくてなんかよく理解されないままになっちゃってたり、ってことが多いのかなって。じつはふつうに手に入るニュースからだけでも、わかることっていっぱいあると思うんですだよ。

津田:そうだね、そう思う。

もんじゅ君:ボクはずっとGoogle Chromeを立ち上げっぱなしで、「原発」「避難」「除染」「デモ」とかのワードでGoogleニュース検索をかけてるの。で、気になったものをわかりやすい言葉で短くまとめ直して、つぶやくようにしてます。どんな順番でツイートしようかなあ、とか、だいじなニュースは複数のメディアのものをとりあげるように……たとえばひとつのトピックでも毎日さんか読売さんか日経さんか──で、ぜんぜんニュアンスがちがったりもするから。

津田:おー、もんじゅ君、Chrome使いなんだ……。そのニュースの探し方、うちの原発担当スタッフの小嶋(@mutevox)とおんなじだね。

小嶋:はい、一緒ですね。ホラ(Macを見せる)。

もんじゅ君:ふぉぉぉ! 一緒ですだよ。小嶋さんのChrome、めちゃめちゃタブ立ち上がってますね。何十個も……。ボクもすぐそんな感じになりますだよ。

津田:ふつうのニュースからでも読み取れることって、いっぱいあるよね。

もんじゅ君:あと、ニュース検索のほかは、電力会社さん、資源エネルギー庁さん、原子力委員会さんのサイトなんかも必要におうじてチェックしてますだよ。

■ツイッターのおかげで、炉としての視野も広がりましただよ!

津田:そっか。もんじゅ君って今は高速増殖炉もんじゅについての情報だけじゃなくって、ふくいち君をはじめとする原発フレンズ、それから放射能汚染、デモみたいな脱原発アクションについても、どんどんつぶやいてるよね。でも、ツイッターをはじめた当初は、もんじゅ君自身についての情報にかぎってつぶやいてなかったっけ?

もんじゅ君:そうなんですだよ。最初のころは「福井には高速増殖炉もんじゅってのがあるんですだよ」「じつはあぶないんです」「ラスボスって呼ばれてます」「何十年たっても完成しないんです」っていうことだけをおしゃべりしてたんだけども、やっぱりそれだけだと原発についてみんなに「考えてみてね」っていうのには、足りないかなって思うようになって。

津田:温室育ちのもんじゅ君も、ソーシャルな世界に足を踏み入れて、いろんな人と触れ合って、人間的成長を遂げたというか──いや、炉なんだけど、世界が広がったってことなんだね。なんか、心が温まる話だね。

もんじゅ君:うん。広がったと思いますだよ。でもとちゅうで「もんじゅ君はもんじゅの話をつぶやくからいいのに、いろいろ手を出しすぎじゃない?」ってアドバイスをもらったこともあって、少し悩んだこともありましただよ。

津田:ははは、炉も悩むんだね。

もんじゅ君:ハイ。でも、やっぱり無関心な人にも関心をもってもらうってことを考えたら、ボクもんじゅのお話だけじゃ、興味とかテンションがもたないと思うから。それで、いまの原発・放射能関連のニュースについて、短くてわかりやすい言葉でお伝えする、っていうスタイルになったんですだよ。

津田:ニュースをツイートする時に、何か気をつけてることはあるの?

もんじゅ君:えーっと、しいていうなら、かならずニュースソースをつけてつぶやくってことかな。ちゃんと新聞さんとかテレビさんとか、わりと大きな、というかレガシーなメディアの情報をソースにして、それでもみんなが見落としがちなことをおしらせできたらなって。ソースがついてたら、見た人は安心っていうか信頼できるだろうし。

津田:うんうん。

もんじゅ君:たとえば「原発のことは気になるけど、ニュースをチェックする時間がない」「めんどくさい」「原発のこととか忘れたいし……」っていうような人っていっぱいいるでしょ。そういう人に、ボクがツイッタで要約するニュースを見てもらって、ちょっとでも気にしてもらって、それで身近な人と話してもらえたらなって。きっと、そういうところから変わる部分もあるよねって。

津田:もんじゅ君、日本最強のニートなのに、すごいがんばってるんだね。

もんじゅ君:うん、ボクね、生まれてこのかたずっとニートだったからね、ちょっと人(炉)生に対して斜にかまえてたというか、ひねくれてた部分も前はあったんだけど──。なんかツイッタでいろんな人にやさしくされて、人間さんとかかわりをもって、もしかしたら情報発信していくことが、ボクのホントのお仕事かもしれないと思うようになったんですだよ。

津田:すごいじゃん。ツイッターで人(炉)生変わったんだね。

■「いいね!」だけじゃ世界は変わらないから、リアルな行動を

津田:まあ、そんなわけで、ニートとしてフテ寝の日々を送ってたもんじゅ君も、ツイッターを始めて、人の優しさ、温かさに触れて、「コミュニケーションと情報発信」という目的を見つけたわけだけども……。

もんじゅ君:ハイ、みなさまのおかげですだよ。まだまだこれからですだよ。

津田:ツイッターを始めて10か月の高速増殖炉が、『おしえて! もんじゅ君』(平凡社)、『さようなら、もんじゅ君』(河出書房新社)と2冊も本を出しちゃったわけだけど、そもそもなんで本を出そうと思ったの?

もんじゅ君:えっとね、ミュージシャンのユザーンさん(@u_zhaan)っているでしょ。インドの楽器の、タブラをぽこぽこ叩く、頭がアフロでぼわぼわのお兄さん。

津田:うん、いるね。彼と僕は落合博満とヤングコーンが好きっていうニッチな共通点があるんだよ。「プロジェクトFUKUSHIMA!」で挨拶した時、「今度落合とヤングコーンがどれだけ好きか一晩語り合おう」って約束したんだけど、まだ果たせてないんだよね。

もんじゅ君:ユザーンさんにすすめられたの。「もんじゅ君も、本出せばいいじゃん!!」みたいな感じで。ユザーンさんといえば『ムンバイなう。』(P-Vine Books)を出してて、もう、ツイッター本の大家だと思ってたから。

津田:なんかその認識は若干間違ってる気もするけど……まぁいいや(笑)。

もんじゅ君:でね、ユザーンさんに「どうやったら本が出せますか!!」ってご質問したら、「もんじゅ君、原稿を書いて出版社に持っていけばいいんだよ」っていわれて。あ、そうかって思ったの。

津田:それっていつごろ?

もんじゅ君:うーんと、11月のなかばくらいに思いついたのかな。で、企画書をつくって、ツイッタで原発とか放射能についてのご本を出してる出版社さんをさがして、平凡社さんは元・福島県知事の佐藤栄佐久さんの『福島原発の真実』とか出してたし、河出書房新社さんはツイッター・デモをやっている人たち(@twitnonukes[*12] が『デモいこ!』[*13] っていうデモの入門ガイドを出すところだったしで、なんかその2社さんとサクサクお話がまとまって。

津田:おお、敦賀にいながらちゃんと売り込みしたんだね。よくがんばった!

もんじゅ君:はい、ネットがあってほんとによかったですだよ。

津田:でもさ、11月半ばに思いついて、3月初めに2冊出てるってことは、3か月くらいで2冊書いちゃったんだね。

もんじゅ君:うん。平凡社のお兄さんにも、河出書房のお姉さんにも、「いやー、まさかホントに出せると思わなかった」っていわれましただよ。

津田:炉って書くの速いのかな? オレ、本とかなかなか書けないけど。この2冊ってさ、もんじゅ君が絵とかも描いてるんだよね、全部(パラパラめくりながら)。

もんじゅ君:はい。やっぱり「高速」増殖炉だから、いちおう速かった。

津田:もんじゅ君はお仕事してないしね。まさにニートの面目躍如というか。書くとなったら、本に専念できる。

もんじゅ君:そうですだよ。ボクは津田さんみたくお忙しくないですから。日本海を見つめる日々でしたから。いままでずっとお仕事サボってたぶん、全力でがんばりましただよ。

津田:そもそも、もんじゅ君がホントに本を出そうと思った理由ってなんだったんだろう?

もんじゅ君:うーん。なんだろ……。ツイッタとかFacebookとか、ソーシャルってはじめやすいし楽しいですけど、やっぱりリツイートしたり、いいね!ボタンを押したりしてるだけじゃ、ボク、世界って変えられないと思ってるんですだよ。「世界」っていうと、おおげさだけども。

津田:うん。

もんじゅ君:いろんな人にもっと知ってもらって、考えてもらうためには、やっぱりツイッタから外の世界に飛びださなきゃな、って。そういう気持ちがありますだよ。ツイッタはつながるためのツールでしかなくって、そこから外に出ていかないと、って。

津田:なるほどね。大事だと思う。

■もんじゅ君のフォロワーに多いのは、ママとミュージシャン……?

津田:ところで、本を出してみて、なんか反応はあったりした?

もんじゅ君:うん。ボクのフォロワーさんには、お子さんをお持ちの女性のかたがたくさんいらっしゃるな、っていうのは、ツイッタをしてても、いただくメンションとかからいつも感じてたんだけども、本を出してみたら、ボクが思ってた以上に「子どもと読める本を書いてくれてありがとう」「小学校1年生の子どもに読み聞かせましたが、きちんと理解できました」みたいな感想をいただくことが多くて……。うれし涙をこらえるのに必死ですだよ。

津田:泣いちゃうと、バクハツしちゃうんだもんね。

もんじゅ君:うん。ガマンしてます。

津田:もんじゅ君のフォロワーにはミュージシャンの人も多いみたいだけど、そのへんはどうなの?

もんじゅ君:そうなんですだよ。なんでかなって思うんですけど、ツイッタをはじめた最初のころから、ミュージシャンのかたがフォローしてくださることが多くって。『おしえて! もんじゅ君』の帯には坂本龍一さんのお名前とか、『さようなら、もんじゅ君』の帯にはASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤さんのお名前やコメントも入ってます。これは出版社の人がご用意してくれたんだけども。

津田:へえ。

もんじゅ君:あと、本を書くときに相談にのってくださったユザーンさんもだし、『おしえて! もんじゅ君』でインタビューさせていただいた大友良英さんにも、たいへんよくしていただいてますだよ。そのほかにもたくさん、ミュージシャンの方にはお世話になってますだよ。

津田:なんだろう、ミュージシャンって、音や声にのせて直接伝えたいことを伝える、っていう人たちだから、もんじゅ君に共感する人が多いのかもしれないね。

もんじゅ君:あっ、それ、大友良英さんも似たようなことをおっしゃってましただよ。「ミュージシャンは直接お客さんの前で、そのときの気持ちをすぐに表現できるから」って。「そのへんはおなじアーティストでも美術とはちがうかも、反応が速いところが」って。

津田:もんじゅ君の言葉は、いろんな人に届きやすいように書かれてると思うよ。だから、RTもしやすいんじゃないかな。

もんじゅ君:RTしやすいっていわれたら、うれしいですだよ。なんとなく「ツイッターで原発の話するなよ」的な空気を感じてる人もいると思うの。でもその、原発について話しにくいなっていう雰囲気があっても、たとえばボクみたいなゆるキャラの言葉だったら、RTしやすいかもしれないでしょ。というか、そうだったらいいな、と思ってボクはツイッタやってるから。だからこそ、つぶやく内容はぜったいに間違えないように気をつけてますだよ。

津田:なるほどね、ゆるキャラなりの矜持があると。

■「冷静なオレ、カッコイイ」みたいなニヒリズム、カッコ悪い

もんじゅ君:あの、今度はちょっと、ボクからご質問なんですけど、やっぱり津田さんが原発の話をされるときは、フォロワーさんの反応がいつもと違ったりしますか?

津田:う~ん。いや、むしろもう、原発についての情報や意見を、僕がつぶやくのを期待している人もたくさんいるよ。

もんじゅ君:ハイ、津田さんはかなり早くから「いやもう、原発はナシでしょう」みたいなことをおっしゃっていた記憶がありますだよ。

津田:うん、そうだよ。僕自身は何度も、原発に対する態度表明をしてるんだけど、なんかいまだに中立だと思われてるフシがあって──なんなんだろうね、キャラなのかな。

もんじゅ君:それは津田さんのキャラじゃないですかね。なんだろ、透明感(?)がありますですだよ。

津田:まあ、「脱原発するしかない」と書くと、いろいろ言ってくる人は必ずいるよね。これは原発事故が起こって、本当に驚いたことなんだけども、「原発は必要なんだ!」と言ってくるのって、99%男性なんだよね。「こんなに男女で違うんだ!」って。

もんじゅ君:わかりますですだよ。ボクもよく文句いわれるけども、キホン、男の人からだから。

津田:原発問題については、男性と女性で態度が明確に分かれた気がするよね。日本の産業ではこれまで、製造業がメインだったから、それで「電力=原発が必要だ」というロジックを使う人がたまにいるんだよね。これって多分、「企業で働いてる自分」と「プライベートな自分」のアイデンティティが一体化しちゃってるってことなんじゃないかな。

もんじゅ君:「仕事=オレ」「電気=原発」っていう……。どっちも思いこみなのにね。

津田:そうそう。で、そういう人は「原発はなければダメなんだ」「原発をなくすのは夢物語なんだ」って意見が多い。

もんじゅ君:きっと「現実が見えている冷静な自分」を愛しちゃってるんじゃないかな、って思いますだよ。

津田:そう。「感情論やポピュリズムに流されないオレ、カッコイイ!」みたいにも見える。

もんじゅ君:あと、「冷静に、冷静に」っていうのも、それと同じなんじゃないかなって思うんだけど。あれってたぶん、本人はあんまり冷静じゃないと思うの。こころを乱されたくないから「冷静に!」っていっちゃうんだよね。「仕事=オレ」っていう構図もあると思うんですけど、「自分がこれまでやってきたことを否定されたくない」「過去の選択が間違っていたことを認めたくない、だって責任問題になるから。だからあとには引けない。ダメだとわかっててもつづけちゃう」──そういうのがあると思うんですだよ。

津田:うん、きっとそれもあるよね。もんじゅ君は『さようなら、もんじゅ君』でも、核燃料サイクル計画が止まらない理由として、「間違いを認めたくない心理」が働いてるからじゃないか、って書いてたよね。

もんじゅ君:うん。これまでやってきたことが間違ってるって薄々わかってても「空気にさからえない」みたいな感じでズルズルいっちゃう、認めると責任とらないといけない、とかなんか、そんな理由で。ボク、これって原子力にかぎらず、日本の社会がかかえるほかの問題にも共通する構造だったりするんじゃないかなって思うことがあるんですだよ。

津田:うん。そうかもね。

もんじゅ君:よく「いまさらやめられるわけないでしょ」とか「しかたないよ」っていうけど、それってだれが決めたの? だれに責任があるの? みんなの意思じゃないとしたら、どうして変えられないの?──って。そこをちゃんと考えなおそうよ、っていいたいんですだよ。だからこそ、原発の問題をこのままズルズルにさせちゃうのは、よくないと思うの。

■ニートの高速増殖炉が、SNSで人の優しさにふれて更生した!?

津田:ところでさ、もんじゅ君ってしゃべる時、「ですだよ」って言ってるけど……。

もんじゅ君:そうですだよ。

津田:その「ですだよ」って、どうしてそうなったの?

もんじゅ君:うーーーんと、なんかね、プルト君とかげんき君(@genkikun_bot)もそうだし、まんべ君とかもそうだけど、ゆるキャラって基本的にフランクっていうか、タメ語でしょ。「やぁ!」「~だよね」「~しないの?」みたいな。

津田:そうだよね。キャラクターだもんね。

もんじゅ君:でもなんかボクは、じぶんより年上のかたとお話ししたりとか、あとはやっぱり被災者のかたからね、「こうでこうでつらいの……」みたいなふうに話しかけられることもけっこうあって、そういうときに、いくらゆるキャラといえども、タメ語というのはいかがなものかと思って、ちょっと悩んだんですだよ。

津田:あれ、もんじゅ君っていくつなんだっけ……。あ、完成がいつかっていうのは微妙だけど、一般的には28年経ってることになってるのね。[*14] まあ、ニートとはいえ、そこは年相応の社会性というか、常識があると(笑)。

もんじゅ君:うん。でも、ていねいにしたいからって、ボクがふつうに敬語で「~なんですか?」「~です」とかっておしゃべりすると、それもそれでヘンでしょ。だから、「~です」に「~だよ」を重ねて使ってたら、なんかみんなマネしてくれるようになって、定着しちゃった。

津田:なるほどね。なんかさ、だんだんもんじゅ君もツイッターやる中で、丸くなってきた部分もあるんじゃないの?

もんじゅ君:うん、そうかも。ボクもんじゅは危険な高速増殖炉だし、最初のころは悪ぶらないといけないような気もしてたけど……。なんかそういうのも性格的にムリがあったし、みんな優しいから、だんだんすなおな気持ちになってきちゃった。

津田:孤独で無気力だった高速増殖炉が、ソーシャルメディアで人間の優しさに触れ、殺伐としてたのがハートウォーミングな存在になっていった。なんていい話なんだ!(笑)。

■知って、考えて、つながって、そして動いていこう!

もんじゅ君:ボクね、ツイッタやるうえで、津田さんにすごく影響を受けてるんですだよ。原子炉界の津田大介を目指します。

津田:ハハハハ。マジで? なんで?

もんじゅ君:津田さんって、ご自分のご意見もちゃんといいながら、わりと中立的な感じに見られるでしょ。その立ち位置がすてきだなとずっと思ってたの。なんかユーストとか見てても、司会もすごくおじょうずでしょ。人のお話をフムフムってひきだして。

津田:また炉に褒められた(笑)。

もんじゅ君:で、津田さんのツイッタのプロフィールって、むかし「東京生まれインターネット育ち」って書いてあったでしょ。ボク、それが好きで、「原発銀座生まれ。MOX燃料育ち」ってプロフィールに書いておりますだよ。

津田:えっマジで?(検索して)あっ……、ホントだ、書いてある(笑)。

もんじゅ君:津田さんはなんか女子におやさしそうな感じもしますだよ。

津田:ハハハ。そうなのかな。

もんじゅ君:情報のあつかい方が──うーん、なんていうんだろ、とてもていねいだなって思いますだよ。たくさんの情報にふれながらも、ていねい。なので、この『情報の呼吸法』、サインお願いいたしますだよ。

津田:いいよ。マジックある?(サインしながら)この本にも書いたけど、情報を出すことで、世の中がちゃんと変わっていけばいいと思うし、僕が一番やりたいのは、みんなが考えるきっかけを作ることなんだよね。

もんじゅ君:フムフムですだよ。

津田:そういう意味では、もんじゅ君がやってることも近いのかもね。知って、考えて、周りと話して、その後、行動してもらう。僕の場合はそのきっかけを作るために一部ジャーナリズムの方法論を使っている、という部分があるのかもね。だから別に「ジャーナリスト」って肩書きにこだわりも思い入れもないし。

もんじゅ君:うん。ボクも、知ることは変わるための力だと思うの。ちゃんと知っていれば、リアルの世界でも、ツイッターでも、「絶対に原発は必要なんだ」「電気をつかうのやめてから脱原発っていえよ」みたいにいわれても、「これは○○だから、違うもん」って思っていられるでしょ。

津田:そうだね。僕はもう、原発はなくしたほうがいい、早く停めたほうがいいと思っているけどね。でも一方で、危険を煽りすぎても続かないだろうとも思うし。だから、もんじゅ君の方法論は、すごくいいんじゃないかな。公開情報をもとに誰にでもわかりやすいかたちで情報を提供して、みんなに考えるきっかけを常に与えているから。

もんじゅ君:あー、ボクもそう思うの。きちんと知って、考えて、話すことができれば、「わからなくてコワイ」とか「話せる雰囲気じゃなくてコワイ」っていう空気が、もっと風通しのよいものになるんじゃないかなって。で、風通しがよくなれば、ムダなケンカとか遠慮とかがなくなって、純粋に「原発をどうするのが未来のためにいちばんよいのか」ってテーマに、シンプルにむきあえるようになるから。

津田:うん。原発についてはさ、今「あちら立てればこちらが立たず」みたいな状態で、みんないろんな決断を迫られてると思うんだよね。原発を推進したい人たちにも、それなりの事情があったりするし。だからこそ、日本が国としてどう決断すべきか、それを国民が考えていくための情報提供がすごく大事だと思うんだよね。

もんじゅ君:その、津田さんの考える「情報提供」って、どんなものなんだろ?興味ありますだよ。

津田:それはなんでもいいと思うんだよ。ツイッターだったら、「この情報だったら自分をフォローしてくれる人たちにとって面白いだろうな」と思うテレビやラジオの番組、あるいは本みたいな読み物を紹介する。それが共有されて、どんどん広がっていけばいいよね。

もんじゅ君:そっか、そっか。ボクも参考にしてがんばりますだよ。

津田:僕は、自分を「メディア=媒介」だと思ってるんだよね。自分が何かのきっかけになればいいなって思う。人に対しても、情報に対してもね。そこはもんじゅ君と共通するところなのかもしれないね。もんじゅ君はツイッターをやって、本を出したけど、次の野望や目標みたいなものはあるの?

もんじゅ君:うーん。ボク、はやくお仕事やめてご隠居したいですだよ……。

津田:働いていないくせに、隠居したいという……。やっぱり長年染みついたニート根性は覆せないのか(笑)。

もんじゅ君:だからボク、『さようなら、もんじゅ君』の最終章「2050年 もんじゅの夢」で描いたような未来が早く来たらいいなって思うの。脱原発できて、みんなしあわせで、再生可能エネルギーが実用化されてて、日本がその技術を世界に輸出できてるような、ニコニコな世界。

津田:うんうん。

もんじゅ君:だからね、こんどは新エネルギーについて、みなさんにご紹介していきたいなって思ってますだよ。やっぱり「代替案出せ!」とかにもくわしくお返事したいし、具体的なビジョンがあれば、脱原発ももっと明るいイメージになると思うの。また企画書つくって出版社さんにいかなくちゃ。

津田:おー。活動的だね。がんばれ!

もんじゅ君:がんばりますだよ。ニートの底力をみせつけてやりますだよ!

津田:ハハハ。でも、はりきりすぎて、またナトリウムをおもらしするのだけはやめてね。

もんじゅ君:あっ……それだけは気をつけますだよ……!(恥)

ジャーナリスト・津田大介さんのメールマガジン、津田大介の「メディアの現場」2012年3月21日号から抜粋して掲載いたします。

津田マガより紹介文転載:
2011年5月4日、ツイッターに突如現れた「もんじゅ君(@monjukun)」。「夢の原子炉、高速増殖炉もんじゅ君です。原発銀座生まれ、MOX燃料育ち」という設定で高速増殖炉もんじゅや福島第一原発をめぐってツイートし、優しさとアイロニーを併せ持つつぶやきで、またたくまに人気者になりました。今や86,000人以上(2012年3月当時)のフォロワーを擁するアカウントに成長したもんじゅ君が、原発事故から1年を迎えたこの3月、2冊の本を上梓。小学校高学年以上を対象に、ツイッターで寄せられた原発と放射能に関する疑問をQ&A形式でやさしく解説する『おしえて!もんじゅ君』(平凡社)。そして、原発や高速増殖炉のしくみと歴史、脱原発後の世界について語る自叙伝『さようなら、もんじゅ君』(河出書房新社)。書籍の刊行を記念して、もんじゅ君と敦賀で語り合いました。

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